パルテア

911の誕生

1949年、356モデルの最初のロットはオーストリア領ケルンテンのグミュントの工場で、フェルディナント・ポルシェとその息子のフェリーによってオールアルミのボディーで手作りされ、競技用に会社で保有したり、選ばれたレース・ドライバーに売られたりした。

1950年、シュツットガルト・ツッフェンハウゼンに生産を移し、総組立はボディ。ビルダーのロイター社借り受けた作業所で、形は同じだがオールスチールのボディの実験用のプロトタイプが作られた。

この初期の356は、ボディ構造は全くオリジナルなものであったが、エンジンがVWより径の大きいバルブを斜めに配置した特製シリンダー・ヘッドを備え、特製のカムシャフトとしんぐる・チョーク気化器を2個取り付けて、エンジン容量1100ccに落としたことを除けばVWビートルの標準ユニットを使用していた。

生産がツッフェンハウゼンで開始されると、年とともに着実に研究と改良が施され、エンジン容量は1100ccから1300cc、1500cc、最終的には1600ccまで上げてゆき、1100cc以外のすべてのサイズにノーマルとS仕様があった。

ギアボックスはポルシェ・シンクロの初期型に置き換えられ、ブレーキ、ステアリング、足回りも改良が加えられ、1963年に発表された356Cではディスクブレーキも装着された。

また比較的少数ではあったが、VWエンジンとは何一つ共通部品のない、4オーバーヘッド・カムシャフトのカレラがあった。

1950年代終わりに近づくと、VWの痕跡はほとんど消滅していたが、その異本的概念の限界は、開発が進むにつれ明白になり、高価格車としては、室内寸法や乗り心地の点でメルセデスやジャガー等とほとんど競争力を失いかけていた。

その当時、ポルシェ社内では誰一人後継車がどんな形をとるべきか、明確に答えられなかった。